スマホ一つで広がる地域の輪?〜デジタル時代のボランティア・地域活動への新しい参加方法〜
はじめに:地域の集まりも変わってきた?
私たちの周りでデジタル化が進むにつれて、暮らしの色々な場面が変わってきましたね。買い物はインターネットで済ませたり、遠くの家族とはビデオ通話で話したりと、便利なこともたくさん増えました。
でも、実は私たちの身近な「地域の集まり」や「ボランティア活動」といった場でも、少しずつ変化が起きています。これまでは公民館に集まって会議をしたり、回覧板で連絡を回したりするのが当たり前でしたが、最近は「オンライン会議」や「LINEグループでの連絡」といったデジタルな方法が使われることも増えてきました。
こうした変化を見ると、「自分には難しそう」「もうついていけないんじゃないか」と、少し寂しさや不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。これまで当たり前だった、顔を合わせて話す温かい繋がりが、デジタルな画面越しになってしまうのか、と感じることもあるでしょう。
この記事では、デジタル化が進む地域の活動やボランティアについて、どのような変化が起きているのか、そして私たちがどのように関わっていけば良いのかを、一緒に考えていきたいと思います。難しそうに見えるデジタルな方法も、実は地域との新しい繋がりを作るきっかけになるかもしれません。
地域活動・ボランティアに起きているデジタル化
具体的に、地域活動やボランティアの場でどのようなデジタル化が進んでいるのでしょうか。いくつか例を見てみましょう。
連絡手段や情報共有の変化
- 回覧板からウェブサイトやSNSへ: 町内会のお知らせやボランティア募集などが、回覧板ではなく、自治体のウェブサイトやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で告知されることが増えています。SNSには「地域のボランティアグループ」のようなものもあり、情報交換が行われています。
- 電話や集会からオンライン会議へ: これまで集会所で開かれていた会議が、自宅などからインターネットを使って参加できる「オンライン会議」(Zoomなどがよく使われます)で行われることがあります。急な連絡は、参加者同士が「LINE」などのメッセージアプリで連絡を取り合うことも増えました。
新しい活動の形
- オンラインでの見守りや交流: 例えば、インターネットを使って高齢者の方と話し相手になったり、読み聞かせをしたりといったオンライン上でのボランティア活動も生まれています。
- SNSを使った啓発活動: 環境保護や地域の歴史など、特定のテーマについてSNSで情報を発信し、共感を広げる活動なども行われています。
- オンライン講座やイベント: 地域の歴史講座や趣味の集まりが、公民館だけでなくオンラインでも開催され、遠方の方でも参加しやすくなっています。
デジタル化が参加者に与える影響
こうしたデジタル化は、私たち参加者に様々な影響を与えています。
ポジティブな側面:参加しやすさや新しい機会
- 移動の手間なく参加できる: オンライン会議やイベントなら、天候や体調に左右されず、自宅から気軽に参加できます。交通手段が限られる方にとっては、大きな助けになります。
- 情報が見つけやすくなる: ウェブサイトやSNSを活用すれば、様々なボランティア募集や地域の活動情報を見つけやすくなります。「こんな活動があったんだ!」という発見もあるかもしれません。
- 新しい繋がりが生まれる可能性: これまで住んでいる地域だけでの活動でしたが、オンラインであれば、同じ趣味や関心を持つ人たちと地域を越えて繋がれる可能性も広がります。
ネガティブな側面:難しさや疎外感
- デジタル機器の操作が難しい: スマートフォンやパソコンの操作、オンライン会議ツールの使い方などに戸惑いを感じる方もいらっしゃいます。これが参加への障壁になってしまうことがあります。
- 情報を見逃してしまう可能性: デジタルでの連絡が中心になると、そうした情報にアクセスできない方は、活動の内容や日程を知ることが難しくなります。
- 顔を合わせる機会が減る寂しさ: 直接会って話す機会が減り、これまでのような温かい交流が少なくなってしまうと感じる方もいるでしょう。
デジタル時代の地域活動への新しい関わり方
デジタル化が進んでも、地域を良くしたい、誰かの役に立ちたいという気持ちは変わりません。大切なのは、デジタル技術を恐れすぎず、自分にできることから活用してみること、そしてデジタルだけにとらわれず、アナログな方法とも組み合わせながら関わっていくことです。
ヒント1:まずは「知る」ことから始めましょう
地域のウェブサイトや、自治体のお知らせなどで、どのようなデジタル化が進んでいるか見てみましょう。もし、地域のボランティア募集がオンラインで出ているのを見つけたら、どんな内容か読んでみるだけでも新しい発見があるかもしれません。
ヒント2:小さなことからデジタルに触れてみる
いきなりオンライン会議に参加するのは難しくても、家族や友人とLINEでメッセージのやり取りをしてみる、インターネットで地域のニュースを見てみるなど、できることから少しずつデジタル機器に慣れていくのがおすすめです。自治体や地域の社会福祉協議会などが、高齢者向けのスマホ講座を開いていることもありますので、参加してみるのも良いでしょう。
ヒント3:周囲に相談してみましょう
もし、参加したい活動がデジタルでの連絡が中心になっていて困る場合は、遠慮なく活動の主催者や他の参加者に相談してみましょう。「インターネットが苦手なので、お知らせは電話でいただけますか?」「オンライン会議の参加方法を教えていただけますか?」など、具体的な困り事を伝えることで、助けが得られることもあります。デジタルに詳しい家族や友人に頼るのも良いでしょう。
ヒント4:デジタルとアナログを組み合わせる
全ての活動がデジタルになるわけではありませんし、全てをデジタルで行う必要もありません。例えば、会議はオンラインでも、活動自体は直接集まって行うものもあります。オンラインでの情報収集は難しくても、地域の掲示板や広報誌など、アナログな方法で情報を得ることもまだまだ可能です。自分に合った方法で関わっていくことが大切です。
ヒント5:完璧を目指さなくても大丈夫
新しい技術に挑戦する時、うまくいかないこともあるかもしれません。でも、完璧に使いこなす必要はありません。最低限必要な機能が使えれば大丈夫、くらいの気持ちで取り組んでみましょう。大切なのは、地域や社会との繋がりを持ち続けたい、という気持ちです。
まとめ:デジタルは「手段」、温かい繋がりは「目的」
デジタル化が進む中でも、地域活動やボランティアの根底にあるのは、人との繋がりや、誰かの役に立ちたいという温かい気持ちです。デジタル技術は、あくまでそのための「手段」の一つです。
新しい技術への戸惑いや難しさを感じるのは自然なことです。しかし、少しずつでもデジタルに触れてみることで、これまで参加が難しかった活動に参加できたり、新しい形で社会と繋がったりする可能性も開けてきます。
もし、デジタル化によって地域との繋がりが遠ざかるように感じることがあっても、それは決してあなた一人ではありません。大切なのは、無理なく、自分にできる範囲で、地域や社会との関わりを持ち続けることです。デジタルもアナログも上手に活用しながら、あなたらしい方法で、温かい地域の輪に関わっていってください。